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【特集】90's EMO 妹が選ぶとりあえず押さえておきたいバンド 25選

更新日:2021年12月27日



1. はじめに

 こんにちは!妹だよ!


 近年、日本でも使われている"エモい"の由来って、知っていますか?元々バンド・音楽界隈で、00年代から使用されていた言葉で、"EMO"と呼ばれるジャンルに対して、使われる事が多かったんだ!


 "EMO"と呼ばれるだけあって、リスナーにとって心の琴線を震わせるような特徴を持つ事が多いこのジャンル。まず思うのは「どういう音楽がEMOって呼ばれるの?」っていう事だと思うんだけど、結論から言うと、それは一言で表せないんだ。


 1980年代にアメリカ ワシントンD.C.シーンを始めに"エモコア"という音楽がアングラで認知され、1994年を区切りに、"EMO"と呼ばれるバンド達が出現。1990年代後半・00年代初頭にアメリカ中西部や西海岸でアングラで発展し、2000年代中盤以降には、様々な特徴を持ったEMOバンド達が世間で大ヒットを連発、更には、2010年代には、エモ・リバイバルなるアングラのムーブメントが起こり、それが今日の2020年代まで続いている……

 発端まで遡ると、約30年近くの歴史があり、年代によってその特徴は異なるんだ。つまり、色んな"EMO"があるって事。


 一見ごちゃごちゃに見えるかもしれないけど、逆を言うと、"EMO"というのは、他のメジャーロックジャンルとは違う発展・多様性を経て、今日まで色んな人に色んな形で愛されてきた奥が深いジャンルとも、私は考えられると思うんだ。

 

 「結局"EMO"ってどんな音楽なのよ?」と疑問に思う方!YouTube で"EMO"というジャンルの解説を試みる動画をアップしています!歴史と音楽性の変化など、個人的解釈でまとめながら、最低限の代表的なバンド達を紹介しておりますので、興味があったら是非見てほしいな!


・「エモい」って結局なに?Emo(エモ)と呼ばれた音楽の歴史と解説を試みる動画 前編

・「エモい」って結局なに?Emo(エモ)と呼ばれた音楽の歴史と解説を試みる動画 後編


 とりまとりとりま、今回は、その"EMO"と呼ばれるジャンルの中でも、とりわけ初期の方に位置する 90's EMO について、よく話題に挙がる代表的なバンドを25組選んでみたよ!


 90's EMO っていうのは、1994年代以降に活躍した EMO黎明期にあたる時期に出現した EMOの事を指す事が多く、今回挙げさせていただくバンド達は、90's EMO ファンから見たら、教科書的な存在なんだ。90's EMO と時代で区切られているとは言え、この頃から様々な特徴を持つ"EMO"が多く存在するんだよ!黎明期からサウンドの特徴に縛られない"EMO"の多様性と奥深さを体感して頂き、これを機に、"EMO"の登竜門とも言われる 90's EMO の代表をチェックして、君たちも「元祖エモい音楽」に入門しよう!


 また、手助けになればだけど、各バンドの概要や、ポイント、オススメ作品も軽く記載するよ!"EMO"というジャンルを深堀りできる取っ掛かりになればいいと思っています。


 ちなみに、今回挙げさせていただくバンド達で、YouTube や Apple Music にプレイリストも作ってみたよ!紹介順に1バンド1曲ずつ選曲してるので、聴きながら記事を読むと理解度が深まるかも!


・YouTube プレイリスト- 妹が入門用に選んだ 90年代エモいバンド達の曲25選【90's EMO】


・Apple Music プレイリスト - 妹が入門用に選んだ 90年代エモいバンド達の曲25選


2. 90's EMO 代表バンドをチェック!

■caP'n Jazz

 シカゴで結成された今日まで語られる 90's EMO の伝説的バンド。数多の EMO バンドが彼らから影響を受け、更には、ミッドウエスト・エモ(アメリカ中西部で発展したEMO)のサウンド的定義を確立したとも言える EMOシーンでは必ず抑えていなければいけない存在。たった2枚のE.P.と1枚のアルバムを出し、1995年というEMOシーンが始まったばかりの頃に解散するも、今日のEMOシーンにまで彼らの影響は深く根付いている。

 解散後、所属していた各メンバー達が結成・加入したバンドは、以後のEMOシーンに爪痕を残したものばかりである。メンバーとしては最低限、Tim Kinsella と Mike Kinsella のキンセラ兄弟、Davey von Bohlen の3名はEMO界隈の話で頻出するので、抑えたほうが良い。

 また、各メンバーの派生バンドとしては、American Football, The Promise Ring, Owls, Ghosts and Vodka, Joan of Arc, Make Believe, There/They're/Theres 等が代表的。


<オススメ作品>

・Analphabetapolothology(1998)

 解散後にリリースされた caP'n Jazz の作品を網羅した編集盤。聞き始めるならここから。















■The Promise Ring

 caP'n Jazz のメンバー Davey von Bohlen 中心にミルウォーキーで結成したバンド。90's EMO の中でもインディー・ポップ色が強く、カルト的な人気を博している。中でも初期のcaP'n Jazz テイストから離れ、ポップ色を更に強めた 2nd Album Nothing Feels Good は、当時のNYタイムスでも評価を得ており、名盤として認識される事が多い。なお、この作品のプロデューサーは、数多のEMO名盤を手掛けている J.Robbins (JAWBOX, Burning Airlines…)である事も、EMOファンの中ではよく話題に挙がるので、是非抑えて頂きたい。


<オススメ作品>

・30° Everywhere(1996)

 1st Album。cap'n Jazz の影響がまだ色濃いながらも、名曲が揃っているファンなら押さえておくべき作品。
















・Nothing Feels Good(1997)。

 2nd Album。NYタイムズで称賛を得た 90's EMO&インディーポップ必聴名盤。J.Robbins プロデュース。

















■Christie Front Drive

 90's EMO 界隈で外してはいけないバンド。90's EMO シーンの中でよく話題に挙がり、後述のバンド達と共にライブシーンを駆け抜け、メロディアスさやスロウテンポ、叙情的に近いバンドサウンド等は、それらのバンド達に影響を与えてきた。こういった特徴は、リスナーから"美EMO"と呼ばれる事が多いが、正式なジャンル名ではないため、参考に留めておきたい。(ただ、その彼ら自体その特徴は持ってはいるが、彼らに影響されたバンド達の方が、その特徴がより色濃く見える。どちらかと言うとキモの部分だけは抑えた感じで、別にハッキリとした美EMO 的特徴を表現している訳ではないので注意)また、後述の Jimmy Eat World や Mineral 等に影響を与えている存在であり、解散後にリリースされたセルフタイトルアルバム(通称 Stereo)というアルバムが、世間的には有名。


<オススメ作品>

・Christie Front Drive(1997)

 通称 Stereo。メジャー契約間際に解散した後、リリースされた名盤。美EMOとしての土台である叙情的な旋律を奏でたサウンドが散りばめられている。

















■Jimmy Eat World

 90年代のEMO 黎明期から活躍してると共に、アングラ界隈に留まっていた EMO というジャンルを世間に知らしめたと存在。必聴としては、2nd Album の Clarity と 3rd Album の Bleed American。Clarity は、数々のメディアサイトでも名盤として紹介され、Bleed American は、ポピュラリティな EMO 作品として、アメリカでプラチナセールス(100万枚以上)を記録する等、数々の功績を獲得している。これ以降、彼らの特徴を更に過剰にしたような音楽がエモ・ポップと呼ばれるようになり、そういったバンド達が00年代中盤以降に続々と出現&ヒットチャートを食い散らかしたのは、EMO 史を知る上では抑えたいポイントだ。


<オススメ作品>

・Clarity(1999)

 Capitol Records から見放さていた時期に排出した名盤。数々の音楽メディアで名盤として賞賛されている。
















・Bleed American(2001)

 セルフプロデュースに近い状態で制作し、スマッシュヒットとなった名盤。この作品以降、彼らの特徴を踏襲&過剰にしたようなバンド達が、世間で続々と出現する事になる。

















■The Anniversary

 90's EMO シーンの中でもニッチ寄りなバンドではあるが、当時のシーンを踏まえて紹介に挙げた。後述の The Get Up Kids や Braid 、将又、Superchunk といったバンド達と、ライブシーンを駆け抜けている。シンセを取り入れたポップ色の強い男女ツインボーカルが特徴的で、意外と知られてはいないが、好きな人は好き。特に Moog シンセを使うことが多いので、とりわけ The Get Up Kids との共通点が多いバンドでもある。


<オススメ作品>

・Designing a Nervous Breakdown(2000)

 1st Album。リリースは2000年だが、Rec自体は1999年に完了している。Moog シンセがアクセントとなり、ポップテイストながらも、インディー精神を感じるサウンドが堪らない。

















■Mineral

 テキサス発の90's EMO シーンの中でも外してはいけない大御所的存在。1st Album の The Power of Failing と、2nd Album の Endserenading は、EMOファンから名盤として崇められる事が多い。ハードコアシーンからの影響が強いながらも、Christie Front Drive の影響からか、後期になるにつれ叙情的サウンドが色濃くなっており、1stと2ndで毛色の異なる美しさを感じる事ができる EMO が、数多くの EMO リスナーの心を鷲掴みにした。


<オススメ作品>

・The Power of Failing(1997)

 EMO ファンなら必聴の 1st Album。NYハードコアを始めとしたサウンドに影響された彼らが放つ激しさと美しさを両立する EMO。
















・The Power of Failing(1997)

 EMO ファンなら必聴の 2nd Album。前作からの激しさを削り、叙情的なサウンドに。

自分の葬式の時にリピートで葬儀場の BGM でかけて頂きたい1枚。

















■Sense Field

 シアトルやアメリカ中西部で勃発した EMO に呼応するようにカルフォルニアから突如出現した EMO レジェンド。西海岸ハードコアキッズが織りなす独特のグッドメロディな EMO は、アメリカ中西部の EMO とは一味違う癖を持っており、魅力を知ってしまうと、ドツボにハマってしまう要素が彼らにはたくさんある。メロディック・パンクテイストが強めの 3rd Album Building が一般的に有名だが、彼らの芯となるメロディアスさをダイレクトに体感するなら、1st Album の Sense Field がオススメ。(1st Album のジャケは、"仏陀ジャケ"とも呼ばれ、異様ながらもマニアの間からは愛されている(圧倒的主観))なお、Sense Field の根幹を成していた名ボーカル、Jon Bunch は、2016年に45歳という若さで亡くなっている。2004年の解散以後、定期的にリユニオンショーはしてはいたが、その望みさえ絶たれたというのが現状だ。大ファンの一人として、この場で改めてお悔やみ申し上げます。 R.I.P Jon Bunch.


<オススメ作品>

・Sense Field(1994)

 通称、"仏陀ジャケ"と呼ばれる異様なジャケの 1st Album。蓋を開ければ、ハードコア上がりとは思えないグッドメロディの温床。















・Building(1996)

 名盤と名高い 3rd Album。メロディック・パンクに近いサウンドに一癖ある Jon Bunch のメロディが癖になる。
















■Jets to Brazil

 スモーキー × 哀愁 = 渋い EMO。一時期、第2のGreenDay、NIRVANA と持て囃されたが色々あり解散してしまったレジェンダリーパンクバンド JAWBREAKER のボーカル Blake Schwarzenbach を中心に、EMO/ハードコア界の名だたるメンバー達が集結したバンド。激情や叙情とは異なる哀愁漂う独特のサウンドが織りなす EMO は、一見ポピュラリティとはかけ離れているが、熱狂的なファンが多いのは事実。Blake Schwarzenbach のパンクから解脱したスタイルが、内省的魅力を十二分に発揮し、"浸れるEMO"としての最高なサウンドを奏でている。リリースしているアルバムは全て名盤。


<オススメ作品>

・Orange Rhyming Dictionary(1998)

 1st Album。ミドルチューンを主体とし、その中で Blake の渋さ全開のメロディが伴う事で、哀愁をサウンドで具現化している。

















■The Get Up Kids

 言わずとも知れたカンザスの 90's EMO レジェンド。時代問わず、固定ファンを獲得し続けており、今現在も活動を続けている。ちょくちょく来日しては、日本人ファン達をシンガロングの熱に巻き込み号泣させて颯爽と帰っていくその姿に、歴戦の貫禄を感じさせる。1st Album の Four Minute Mile と 2nd Album の Something to Write Home About は、EMOファンなら必聴。これを聞かず&歌えずにして EMO を語るべからずというくらいの名盤として、今日まで認識されている。


<オススメ作品>

・Four Minute Mile(1997)

 義務教育的名盤の 1st Album。Sunny Day Real Estate に影響されてか、サウンドの緩急を駆使しつつも、粗削り感を含め、ティーンエイジャー達の気持ちを彷彿とさせる要素に満ち溢れた正にに"エモい"1枚。EMO ファンなら、全部シンガロングできるのが当たり前みたいな風潮がある。(圧倒的主観)
















・Something to Write Home About(1999)

 1st Album よりもポップテイストが強めになり、更に共感しやすい EMO として君臨した名盤 2nd Album。EMO ファンなら、全部シンガロングできるのが当たり前みたいな風潮がある。(圧倒的主観)

















■At the Drive-in

 メタルコア勃発期に突如ヒットチャートに出現したポスト・ハードコアの異端児。ハードコアとも呼ばれ、パンクとも呼ばれ、EMO とも呼ばれるカオスなサウンドが、90年代末期・00年代初頭のハードコアシーンを動揺させた。一見、ハードコアシーンの中でも突出しすぎており、そもそも 90's EMO の括りに入れていいのかと疑問ではあるが、意外とそこ界隈のバンド達とライブしていたりするため、紹介に入れている。実績としては、第1回サマーソニックに出演したり、3rd Album の Relationship Of Command が大ヒットする等、目覚ましい功績が幾つかあるのだが、幸か不幸か、彼らが日本で一番認知されている理由は、タモリ倶楽部の空耳で紹介されている事な気がする。(Relationship Of Command の Sleepwalk Capsules にて、「どどどど童貞ちゃうわ」と聞こえる部分がある)また、もうちょっと界隈全体の話に踏み込むと、ギターの Omar Alfredo Rodríguez-López の暴れっぷりなライブパフォーマンスと独特のギターエフェクト技術は、一定層のバンドキッズ達に崇められている事が多い。スーパーソニック早く再販してください Fender さん。


<オススメ作品>

・In/Casino/Out(1998)

 彼らの名を世間に轟かせた 2nd Album。 3rd Album の Relationship Of Command の影に埋もれがちだが、EMO 名盤として、Rolling Stone 誌等で取り上げられている位の実績はある。90's EMO として括るかは、人それぞれな印象あり。

















■Lifetime

 過小評価されがちなニュージャージー出身のレジェンド。90's EMO の中でも、パンク・メロコアテイストが強めで、そのスタイルが、数々の EMO バンド達に影響を与えているインフルエンサー的な印象が強い。(後述の Saves the Day が彼らのフォロワーとして有名)サウンド的には、彼らが影響を受けていたNYハードコアのファスト&リズム緩急成分がありながら、内省的なテーマを取り扱っており、哀愁にも似たメロディックなハードコアを展開している。現在のメロコアに近いスタイルとも言えるが、先のそれだけに留まらない特徴から、一定層の EMO リスナーから愛されている存在。


<オススメ作品>

・Hello Bastards(1995)

 名盤と名高い 2nd Album。メロコア成分が強めながらも、NYハードコアからの影響や哀愁を醸し出すメロディアスさがあり、そこはかとなく EMO 味を感じる。Jade Tree からリリースされてるのもポイント。

















■Braid

 とりあえず EMO ファンなら誰でも知ってる&愛されているイリノイ州出身のEMO 大御所的存在。3rd Album の Frame and Canvas は、前述した人物 J.Robbins のプロデュース作品であり、90's EMO の名盤としても認知されている。初期作品よりもカオティック要素を薄めてはいるが、いい塩梅の目まぐるしさとキャッチーさを混ぜたポスト・ハードコアとして、唯一無二の EMO を奏でており、コアなファンが多い。また豆知識として、Frame and Canvas に収録されている The New Nathan Detroits のイントロドラムフレーズは、以後のEMO バンド(You Blew it!とか、日本だと Said とか )にオマージュされていたり、toe のドラマー柏倉隆史がコピーしていたりと、バンド界隈で何故か愛されている事が多い。私も偶に叩いている。


<オススメ作品>

・Frame & Canvas(1998)

 皆大好きスーパー名盤。聞き込めば聞き込むほど、目まぐるしさとキャッチーさ、そしてカタルシスを感じさせる楽曲構成の塩梅が、完璧に思えてくる。
















■Rainer Maria

 ウィスコンシン発、男女混合ボーカル3ピースEMOバンドの代表的存在。一般的には、ギターロックとして完成度の高い 2nd Album の Look Now Look Again だけ紹介される事が多いが、初期衝動感強めの 1st Album Past Worn Searching のような 90's EMO黎明期に多いサウンドの緩急を踏襲した作品も見逃してはいけないと、個人的には感じる。彼らの作風は、作品ごとに毛色が異なってはいるが、ファンは選り好みしない印象が強い(圧倒的主観)


<オススメ作品>

・Past Worn Searching(1997)

 近年のEMOリスナーからは意外と見逃されがちだが、ファンからは愛されている事の多い 1st Album。ザ・90's EMO テイストのような初期衝動感ある曲も GOOD だが、この頃からポストロック的なメロウさにも光るものが見える。
















<オススメ作品>

・Look Now Look Again(1999)

 2nd Album。EMOリスナーは、こちらを名盤に挙げる事が多い。前作よりもギターロックとしての完成度が高まっている。

















■Saves the Day

 ニュージャージーから颯爽とスーパーキッズとして出現した EMOレジェンドの1つ 。活躍時期としては、00年代以降も目覚ましい活躍をするのだが、やはり 2nd Album の Through Being Cool の話題性と愛され度が異常なため、90's EMO として紹介させて頂いた。Through Being Cool は、最初期の正統派メロコアチックなスタイルから、ポップ・パンク成分とティーンエイジャー要素を強めた EMO と ポップパンクの融合した"エモ・ポップ"の走り的存在でもあり、今日まで何回も再プレスされている名盤中の名盤だ。次回作の Stay What You Are においては、サウンドの緩急さえ織り交ぜた結果、ポスト・ハードコア的な要素を垣間見せつつも、 EMOの名に恥じない感情的な音楽として洗練された至極の名盤として認知されている。日本だと何故か過小評価されている彼らだが、この2枚は是非チェックして頂きたい。ファンならではの面白部分として、Through Being Cool は、Equal Vision からリリースされている。この事から、クリシュナ宗教に属するバンド達のサポートから始まった Equal Vision のこの頃の雑食性がわかる。


<オススメ作品>

・Through Being Cool(1999)

 2nd Album。ポップ・パンクと EMO が混ざり合った一際ポピュラリティ、かつ、胸に染みる EMO 名盤として認知されている。日本では過小評価されがちだが、海外では愛されすぎているせいで、ジャケが色んな人にオマージュされてる。(Into It, Over It とかもやってる)
















<オススメ作品>

・Stay What You Are(2001)

 前作の Through Being Cool よりもポップさが洗練され、更にサウンドの緩急を取り入れた結果、見事なエモ・ポップ名盤として認知される事に。

















■Texas is the Reason

 "Texas"という名を被ってはいるが、その中身は、NYハードコアの異端児。当時のNYハードコアシーンに蔓延っていたスキンズを始めとするマッチョ的な音楽観と、クリシュナ宗教思想の根付いた音楽から脱却しようとし、結成されたバンドでもある。彼らのたった1枚のアルバム Do You Know Who You Are? は、今日まで 90's EMO の中でも色褪せない名盤として語り継がれている。NYハードコアの下地と、彼ら独特のメロディーセンスが相まり、儚さ・優しさ・力強さを感じるポスト・ハードコア――矛盾に聞こえるが、ポジティブさと感傷的な要素を孕んだ唯一無二の EMO を奏でている。聞いた方が早い。ちなみにバンド名の由来は、Misfits の曲から来ているのは有名。


<オススメ作品>

・Do You Know Who You Are?(1996)

 現在まで孤高の名盤として語り継がれる彼らのたった1枚のアルバム。個人的には、彼らのE.P.、未発表曲もある2016年のリイシュー盤を購入した方がオススメ。

















■American Football

 caP'n Jazz の Mike Kinsella が中心となり結成されたどてらヤバいバンド。元々ハードコアから派生した EMO のはずだが、そもそものハードコアからも解脱し、ポスト・ロック+マス・ロック成分を盛り込んだ結果、新しい EMO として様々なバンドに影響を与えたバンドでもある。現在も続くエモ・リバイバルと呼ばれるバンド達から、このバンドの影響が無いものを探すほうが難しい程、甚大な影響力を持っており、代表作の 1st Album(彼らのアルバムは全てセルフタイトルのため、正式名称は無い) は、多くの人に愛されている。またその作品に収録されている Never Meant という曲は、愛されすぎている結果、今日まで YouTube 上で数え切れないほどのアレンジや、将又、変なコラ動画まで量産されているという中々凄まじい影響を持つ曲として知られている。


<オススメ作品>

・American Football(1999)

 皆大好き家ジャケ名盤。音楽性もさながら、ジャケのセンスまで今日の EMO バンドに絶大な影響を与えているヤバいとしかいいようがない1枚。実際に聞いた方が早い。















■Penfold

 激情要素を少~しだけ絡めた元祖"叙情派美EMO"バンドの1つ。繊細なアルペジオを交えたメロウな展開やハードコア譲りのバンドサウンドを駆使した静と動をわかりやすく表現するスタイルは、感情の起伏又は爆発を表現したような印象も受け、心の琴線が震える要素がそこら中に散りばめられいる。根強いファンが多く、特に日本人ファンが多い印象もあり、1st Album の Amateurs And Professionals は、日本の EMO レビュアー達も名盤として取り上げる事が多い。ちなみに、Cinema Staff のギター 辻さんも、フェイバリットアルバムとして挙げている。


<オススメ作品>

・Amateurs And Professionals(1999)

 日本人EMOリスナーから絶大な支持を受けている叙情 EMO 名盤。押さえておいて損は絶対ない。

















■Sunny Day Real Estate

 EMO というジャンルの始まりとも言える存在。グランジとワシントンD.C. のハードコア等から影響を受けたシアトルの少年たちが、老舗インディーレベル Sub-pop から放ったデビューアルバム Diary は、EMO の歴史上外せない名盤として認知されている。この Diary がリリースされた1994年を火切に、ハードコア譲りの激しさとポスト・ロック譲りのメロウな繊細さを展開した、感情の爆発を連想させる EMO バンド達が、世間で続々と出現していくのだ。しかし、始まりとは言え、以降のアメリカ中西部を中心に発展する EMO とは異なり、この作品は、グランジ成分の陰鬱さも含まれている――始まりにして、90's EMO の中でも異端寄りっていうのがポイントだ。また、彼らは Diary 以降、作風を変えていき、Diary のような特徴からは離れていく。バンドとしては、良作を生み続けているとは言え、後期は、EMO とも捉えられない特徴が濃くなっていくため、90's EMO という観点で言えば、Diary だけは抑えておけば、間違いない認識。ちなみに、ボーカルの Jeremy Enigk が EMO という言葉に否定的なせいか、一部のファンは、彼らを EMO と呼ぶことに対して怒る事が稀に良くある(矛盾)が、ギターの Dan Hoerner は、別に使ってもよくね?的な立ち位置なので、私は後者のスタンスを取っている。ちなみに、ベースの Nate Mendel は、Foo Fighters で活躍している。ドラムの William Goldsmith もFoo Fighters に在籍していたのだが……うん、色々あって、脱退してます(Foo Fighters のドキュメンタリー映画を見ればその訳がわかりますので是非)


<オススメ作品>

・Diary(1994)

 Sub-pop からリリースされた EMO の始まりとも呼ばれる大名盤。オススメというよりかは、必聴。

















■Karate

 ニッチ寄りな立ち位置のはずだが、何故か日本では好きな人が多く、EMO/ポスト・ハードコアの中でも伝説と呼ばれる事が多いボストンの雄。EMOと括られる事が多いが、中身はポスト・ハードコア成分が強めで、ジャズ・ブルース・ポストロックと言った要素を孕み、インディー感増し増しの挑戦的なハードコアを展開している。後期は、更に挑戦的な要素が強めになり、独特のインディーロックを奏でるようになるが、EMO/ポストハードコア関わらず、安定して COOL な作品を出している素晴らしいバンドだ。ボーカルのGeoff Farina が聴覚障害を患い、2005年に解散してしまったのだが、現在もリヴァイナル化されたり、一定の需要が長く続いている存在でもある。何故か日本のEMO/ポスト・ハードコアファンは、このバンドが好きな人が多く、話に挙がる事が多いので、ニッチ寄りではあるが紹介に挙げさせて頂いた。(圧倒的主観)


<オススメ作品>

・Karate(1996)

 彼らの1st Album。EMO よりもポスト・ハードコア的成分が強いのが特徴だが、処女作の時点で、彼らの世界観が完成されている。EMO 玄人様に彼らのファンが多いためか、結構話題に上がってくる印象。この前、とあるレコードサイトでは、再発版入荷後、すぐ売り切れてた(白目)

















■Weezer

 ご存知、ヒットチャート常連の大御所バンド。当時の EMO シーンで活躍してきた訳ではなく、1st Album の通称 ブルー・アルバムで、「泣き虫ロック」と呼称されるような一風変わったパワーポップを出し、それがスマッシュヒット。他の90's EMO に見られるような要素は限りなく少ないのだが、彼らの独自のロックから、ティーンエイジャーの感情的な部分が想起される事、また、それ以降 Weezer から影響を受けた EMO バンド(The Promise Ring、You Blew It !等)が多いため、EMOリスナーからしたら、EMO の括りで捉える事が多い。ちなみにブルー・アルバムは、1994年という Sunny Day Real Estate の Diary と同じ、EMO 誕生年にリリースされている。


<オススメ作品>

・Weezer(1994)

 通称、ブルー・アルバム。彼らのメジャーデビュー作品であり、アメリカで300万枚セールスを記録した化け物作品。EMO というよりかは、90年代ロックの教養として必聴。
















・Pinkerton(1996)

 ブルー・アルバムの成功後、セールス的にコケてしまった 2nd Album。しかし近年では、再評価の波が来ていたりする。ちなみに caP'n Jazz, The Promise Ring の Davey von Bohlen は、当時めちゃくちゃリピートしまくってたと Tom Mullen とのインタビューで公言している。

















■Starmarket

 スウェーデン出身の EMO レジェンド。アメリカから離れた北欧の土地で、 EMO を奏でていた彼らも、ファンはとても多く、泣きメロ成分のあるパンキッシュな 2nd Album Sunday's Worst Enemy と 少し落ち着きつつ叙情的に魅せる技が光る 3rd Album Four Hours Light が、名盤として挙がる事が多い。アメリカ出身ではないとはいえ、90年代の時点で、EMO の影響が海を渡っていたという事にも驚きだ。ちなみに、Sunday's Worst Enemy のThanks 欄には、先述した Texas is the Reason の名前が記されており、しかも1曲目のコード進行は、Texas is the Reason の Back And To The Left と似すぎているというのも、中々 EMO リスナー目線で言うと、色々考えさせられる面白いポイントだと思う。ちなみに2019年に来日している。あと、とある日本某音楽メディア Skre○m で、「HÜSKER DÜ meets SUPERCHUNKと称され~」って書いてあったけど、どこで誰がそんな風に称してるの?今まで見た事も聞いた事もないんだけど……知ってる人がいたら、教えて下さい。


<オススメ作品>

・Sunday's Worst Enemy(1997)

 2nd Album。メロ強めのパンキッシュな EMO を奏でる名盤。USハードコア影響下の力強いバンドサウンドが聴ける。最近、またリイシューされてたりしてる。
















・Four Hours Light(1999)

 3rd Album。前作から少し落ち着いて、メロウさを強めにした傑作と名高い作品。

















■The Appleseed Cast

 現在までずっと活動を続けているカンザスの 90's EMO レジェンド。元々、Sunny Day Real Estate の名曲 Seven から歌詞を取ったバンド名(December's Tragic Drive)で活動していた事もあり、初期は、彼ら譲りのサウンドの緩急にプラスして、叙情ハードコア成分を足したようなスタイルだった。その時の作品であり、かつ、名作として名高いのが、 1st Album の The End of the Ring Wars だ。時代を経るにつれて、彼らのサウンドスタイルは、ポスト・ロック系に傾倒していくのだが、レベルの高い合格点を Always 出し続けている職人的立ち位置のバンドの印象が強い。


<オススメ作品>

・The End of the Ring Wars(1998)

 叙情・激情成分を醸し出した 90's EMO 名盤であり、ハードコア系の影響が色濃かった初期の傑作。ジャケが素晴らしい。

















■Hot Water Music

 世間的には、90's EMO というよりかは early 00's EMO、若しくは人によっては、メロディック・パンクの印象が強いが、90年代から先述した The Promise Ring とライブシーンを共にしたり、Mineral や Christie Front Drive と言ったバンド達とスプリット作品を出しており、個人的には、90's EMO バンドとして捉えているため、紹介させていただいた。サウンド的には、先の言う通り、コーストあがりを感じさせる力強いメロディック・パンク要素が強めではあるが、西海岸とは少し異なる暑さと渋さを感じさせるパンクを排出し続けている。他 90's EMO と毛色は異なるが、メロディック・パンクが好きならオススメ。


<オススメ作品>

・Caution(2002)

 2002年リリースだが、Hot Water Music の中でも語られる代表的名盤のため、挙げさせて頂いた。海岸に近くとも、内陸の力強さを彷彿とさせるフロリダ産のメロディック・パンク色な EMO は、いつ聞いても素晴らしい。ちなみにリリース元は、Epitaph Records。



 














■Joshua

 オレンジカウンティ発 90's EMO の隠れた伝説として知られているバンド。The Get Up Kids を排出した名門 Doghouse Records から華々しくデビューし、1st Album の Whole New Theory では、西海岸出身としては珍しいインテリジェンスを備えたギターワークとメロディセンスで、抜きん出たポスト・ハードコアを奏でている。この1st Album は、名盤として名高く、何回か名前を出している J.Robbins プロデュース作品でもある。人気の絶頂自体は00年代に入ってからだが、EMO 黎明期から活動しているバンドでもあるため、紹介。


<オススメ作品>

・A Whole New Theory(1999)

 J.Robbins をプロデューサーに迎えて排出した彼らの1st Album。レーベルチェックする人なら、90's EMO 名盤として認識している人が多いが、ネットのEMO 紹介記事では、中々紹介されない。西海岸では珍しいインテリジェンスを含みながらも、ツボを押さえたメロディアスな EMO を奏でている。

















■JAWBREAKER

 1996年に解散した パンク/EMO バンド。これまで説明してきたバンド達と違い、異色の経歴・バックボーンを持ちながらも、EMO として今日まで語られている存在だ。彼らは元々、イーストベイパンク(サンフランシスコ・ベイエリアのパンクシーン)で名を馳せ、第2の Green Day や NIRVANA になる存在とまで言われていたバンドだったのだが、1994年に様々な背景・要因が重なり、パンクから離れた 4th Album Dear You という作品を、メジャーからリリースしてしまった。当時、これは大ゴケし、これが発端でバンドは解散してしまうも、00年代に入ると、オークションで高値で取引されるようになり、いつしか EMO の名盤として語られるようになった面白い作品でもあるのだ。そして EMO の観点から見ても、ポスト・ハードコア的な特徴は薄く、ボーカルの Blake Schwarzenbach の内省的なボーカルスタイルと、メジャープロデュースの轟音のようなギターサウンド、前ノリが少なめの楽曲主体で、独特のサウンドを生み出している EMO 作品でもあるのだ。中々渋めなギターロック作品とも言えなくはないのだが、魅力を知ってしまうと泥沼にハマってしまうほどの味わい深さを持っており、今日まで名盤として語られている。Rolling Stone 誌でも EMO ベストアルバム40で4位にランクするほど、EMO リスナーから愛される作品なのだ。ちなみに、Dear You の前作に当たるアルバム 24 Hour Revenge Therapy は、90年代パンクファンなら、知っていないといけない程の必聴名盤ではあるが、ここでは省略する。


<オススメ作品>

・Dear You(1995)

 培ってきたパンク要素と Blake の内省的なボーカルスタイルが、化学反応を起こし、他 90's EMO とは異なる哀愁さを放つ名盤。リリース当時は理解されず、4万枚のセールスに終わり、数週間で廃盤になったが、00年代以降、EMO として再評価され、時代を先取りしすぎた EMO 名盤として語られている。
















3. あとがき

 また会ったね!妹だよ!


 90's EMO 代表バンド特集、如何だったでしょうか?有名所を挙げつつも、玄人なら必ずチェックしてるけど、入門したての頃だと中々見つけられないバンドも幾つか挙げてみました。また、あくまでここで紹介しているのは、 90's EMO の代表バンドの一部であり、もちろんその他にも魅力的なバンドはたくさんいます!Chamberlainとか、Jejune とか、Boys Lifeとか、Knapsack とかもそうかな?挙げるとキリがなくなるけど、とりま、ここに記載されているバンドを網羅できれば有名所& EMO の多様性っていうのを実感できると思います!まぁ、あくまで個人でセレクトしてるので、抜けとかあるかもしれないけど……


 とりまとりとりま、これを機に90's EMO を知って頂き、今後のEMO活("EMOをディグり、愛でる活動"の略)に役立てていただけたら嬉しいな!プレイリストに沿った形で、紹介しているので、聴きながら読んでみれば、参考になるかもね!


あと、ここに記載しているバンド達のいくつかは、YouTube の方で深堀り解説動画をアップしているので、興味があったら、是非チャンネルに足を運んでくださいね!


という事で、今回の特集はここまで!長くて見にくい記事でごめんね。時間が空いたら、もっと見やすいようレイアウトとか整理したいと思います。



では、さようなら!



※誤記・脱字などありましたら優しく指摘して頂けると幸いです、。、


 

YouTubeチャンネル「妹は音楽について語りたい」


Twitter @LalapaloozaS

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